ビル業界 経営者対談 議論風生                  pdf

港区・新橋に拠点を置き、仲介と不動産管理の両輪で事業を進めること40年。ビル間競争が熾烈を極める業界転機の今、新社長として就任した阿部氏。一見の仲介という立場ではなく、地元密着型のビジネスパートナーとして、きめ細やかなサービスでビル経営者をサポートする。ビルオーナーが所有するビルの魅力をアピールし、またそれに相応しい経営のアドバイスを行う。

1.ビル間競争激化する今仲介会社の質 問われる

2.企業開発から仲介・管理・そして売却までトータルサポート可能とする40年の実績

3.長期修繕計画から相続相談までパートナー企業の力量高める

4.聞き手 垂澤社長

5.阿部 龍治

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ビル間競争激化する今
仲介会社の質 問われる


垂澤 
この度は新社長就任おめでとうございます。新橋に基盤を置き、阿部社長は当社の「週刊ビル経営」発刊と同時期にダク・エンタープライズに入社したと聞いています。今、不動産業界は大きな転機に直面しています。

阿部
 
私が入社したのは16年前ですが、ダク自身の歴史には古く、創業者は私の実父であり現相談役です。創業者である前社長が健在の内に代替わりができたのは運がよかったと思います。先代が築き上げた信頼を受け継ぎ、さらに自身がより良いパートナーシップを作り上げる努力ができるからです。

垂澤
 
当社の「週刊ビル経営」も現在16年目です。発行当初は私自身一記者として、新聞を知ってもらうこと、信頼を得ることに非常に苦慮しました。ビルオーナーに取材のアポイントをとるにしても、「取材を受けて意味があるのか」「当社のノウハウを外部に漏らすのか」とけんもほろろの対応で、不動産業界は外部への情報発信にはネガティブであると実感したものです。不動産仲介会社にビルオーナーの属性をヒアリングしたり、独自に信頼を得る方法を研究し、時間をかけて信用を積み重ねてきました。当時、御社にもお世話になったのものです。ところで御社はダク・エンタープライズと首都圏ビルマネジメントの2社をグループ企業として経営されていますが、40年近い歴史の中でお付き合いのある企業も着実に増やしていったのではないでしょうか。

阿部
 
営業範囲は首都圏全域ですが、顧客はやはり地元で長くビル経営を行っている方が多く、純粋なオフィスビル以外にも店舗とオフィスの複合ビルなど、ビルの種類も多様です。管理棟数は60棟ほどで、仲介を行った物件に対しても、テナント管理の一部も請け負っています。クレームや退去手続きなど、総合管理とまで行かない、ビルオーナーの負担軽減ですね。仲介も賃貸借契約の書類を双方に渡してハンコをもらって終わり、というものではありません。当社がご案内した以上、万全のアフターフォローもご提供しています。

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企業開発から仲介・管理・そして売却までトータルサポート可能とする40年の実績

垂澤 今、市場全体で見ると仲介事業は若干動きが鈍い状況にあります。好景気時は仲介会社が有利ですが、その点御社は管理会社も経営されているので景気変動時のリスクヘッジになっているのかもしれません。仲介を行う立場から「この企業にはこの設備が必要」という目線を管理に生かせるメリットもあるでしょう。オーナーとしては、客付けで終わるのではなく、その後も管理面でしっかりフォローしてくれる不動産会社に任せた方が安心かもしれませんね。

阿部
 
確かに、仲介のみで営業すると市況が下落したときが大変で、管理は毎月固定で収入が得られる点が大きいところです。仲介と両輪でサービス提供を行っている管理部門は8割地下ックが以前からお付き合いがある物件で、そのうち6割が竣工当時からお付き合いのある物件です。管理は長期間に渡りお付き合いするものですので、トラブルがあったら迅速に対応する、相談には真摯に対応するといったことを心がけ、丁寧な業務を行いビルオーナーからの信頼を培っていく必要があるでしょう。昨今では管理物件も老朽化しはじめてきましたので、随時設備更新等のご相談にも乗っています。

垂澤
 老朽化、設備の陳腐化はビルオーナーの頭を悩ませるところです。空室リスクもありますし、対策は早々に講じたいところですが、賃料下落の流れ中で多額な投資を必要と設備更新はジレンマですね。

阿部
 中小ビルで空室が生じるのは、価格設定にが乖離があることと、設備投資不足が主です。設備投資を行う資金が足りないという事情もあるのでしょう。多くのビル経営者は平成初期のバブル時代、金融機関等に進められてビルを建設した方々で、改修する余力のない方もいらっしゃいます。余力のある人、ない人、さまざまな経営感の方がいらっしゃいますが、当社としては出来うる限りお手伝いさせて頂いています。一番困るのは外部の意見を受け入れないビルオーナーです。

垂澤
 ビルオーナーの中には裸の王様でいる方も多くいます。未だに「貸してやるんだ」という意識の方もあり、市場のニーズと自身のビルが乖離している状況を把握しているか怪しいところです。問題は、テナントが求めているものを備えていないビルです。時代を知った上で、必要な設備を導入する必要があるでしょう。

阿部
 
例えばIT企業などはOAフロアや光ファイバーなどの設備が必須ですし、また残業の多い企業を考えて24時間稼働可能であるビルを構築するのも一つの手です。24時間稼働、セキュリティ、光ファイバー、OAフロア、男女別トイレ、個別空調、これらの設備は必須といえるでしょう。改修も短期的に見れば大きな出費ですが、いずれは対策を打たなければならない分野です。

垂澤
 今やオフィスにパソコン、複合機が当たり前の時代です。従来と比べ、電気容量やトランスも見直す必要があるでしょう。そうは言っても、ビルオーナーにとっては出費ですので、中にはテナントに施工してもらう方もいらっしゃいます。

阿部
 テナントに施工してもらうより、オーナーの試算で設備投資を行ったほうが、結局はビルの付加価値向上に繋がります。退去時に原状回復を行い、全く一から設備を付け直すとなると新規テナントも誘致もハードルが高くなります。

垂澤
 各メディアで空室率上昇と賃料値下げが報道されており、実際にその傾向にあります。景気の良いときは、東京駅周辺で坪7万円など華々しい話題が提供されましたが、現在はそれら賃料が跳ね上がったビルで複数フロアに空室が生じている様です。大手が賃料を下げると、中小ビルも同じ土俵で戦わざるを得ません。ビルの付加価値向上は対抗手段の一つとなるでしょう。これまでは金融・証券会社等が優良テナントとされてきましたが、今、勢いのある業態は。

阿部
 金融に加えて、一時コンサルティングや人材派遣も高額賃料を負担できる優良テナントとされていました。全体的には元気な企業が少なくなっていますが、ニッチな分野でも安定した技術力で仕事を行っている会社が追い風となっています。大型物件となると、ビルオーナーとテナントが考える適正賃料に大きなギャップが生じており、その差は坪1万円近くに達しています。

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長期修繕計画から相続相談までパートナー企業の力量高める

垂澤 「仲介」は両者のギャップを可能な限り埋める重要な役割を担っています。オーナーの経営状況や既存テナントとの兼ね合い、返済や積み立てを確保しつつ、どこまえ契約時に先方の要求を飲めるのか、長期的な経営を考えて契約交渉に挑む必要があるでしょう。一方でテナントのニーズや市場のトレンド、相場感も熟知している必要もあり、不動産仲介会社はより高いレベルで仕事を任されるケースが多くなるのではないでしょうか。

阿部
 契約を終えたら終わりといった、一見の仲介という立場ではない、PMや相続等の相談までできるビジネスパートナーでありたいと考えています。そのためには信頼を深め、そして会社のレベルを上げていきたいと思います。仲介会社にありがちな、個人の能力に頼るだけの営業ではなく、ブループ会社としてビジネスモデルのシステム化も図っていきたいですね。昨年11月から社内部に「組織活性化委員会」を設立し、会社の忌避なき意見を言い合う場を設けています。これまで役員クラスで意思決定を行っていましたが、それだけではない、現場のリーダーを集めて執行委員会を作り自主的な問題や課題、解決策を討議する場が必要だと感じたからです。各社員が自主的に社の将来を考え、意見することが重要で、個人個人が危機感や活性化を図る努力を行わないと、今後中小企業は生き残れません。

垂澤
 今や少しパソコンを操作すれば、賃料相場が出てくる時代です。エンドユーザーもパソコン上から物件を検索できますし、オーナーも非常に勉強しています。「待ち」の営業では、ビルオーナーからも、そして時代からも取り残されていくでしょう。

阿部
 それに対応するには、管理・仲介だけではない、ワンストップでサービスを提供できるということ、そしてかゆいところに手が届くサービスであること、社員一人ひとりのスキルを伸ばして綜合力で対応していきたいと考えます。以前は銀行が中小企業のコンサルティングに類似したことを行っていましたが、我々は金融機関から見て魅力あるビルであることをアピールし、またそれに相応しいビル経営のお手伝いをする、不動産経営のトータルコンサルティングを提供できる立場を、最終的に目指したいと考えています。


聞き手 垂澤清三
昭和34年東京生まれ。中央大学法学部出身。経済評論家亀岡大邸に師事し、平成6年全国賃貸住宅新聞社に入社。「週刊ビル経営」の創刊にともないビル経営研究所に移籍。平成9年取締役編集長。平成11年より同社代表取締役社長。


株式会社ダク・エンタープライズ
株式会社首都圏ビルマネジメント

代表取締役社長 阿部 龍治

ダク・エンタープライズ 首都圏ビルマネジメント 代表取締役 阿部龍治

プロフィール
昭和39年、神奈川県生まれ。神奈川大学大学院工学研究課修士課程修了後、日本アイ・ビーエムに入社。平成6年、ダク・エンタープライズと首都圏ビルマネジメントに入社。2009年に代表取締役に就任し、現在に至る。趣味はアウトドアと旅行、そしてカメラ。

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