本記事はこんな方におすすめです
- オフィスの移転スケジュールの期間や流れを知りたい方
- 移転スケジュールの立て方を知りたい方
- オフィスの移転スケジュール管理に不安を感じている方
オフィスの移転は、社内のプロジェクトの中でも労力がかかり、長期にわたる業務となるため、どう進めて行けばよいか悩んでいる経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では以下についてまとめました。
- オフィスの移転スケジュール全体像
- 【時系列で解説】オフィス移転スケジュールと進め方
これらを参考にすることで、事前に綿密なスケジュールを立てた上で、準備やリスク管理、スムーズな移転を実現しやすくなります。
オフィスの移転スケジュール・全体像
まずはオフィスの移転の全体的なスケジュールをイメージできるようにしましょう。
オフィス移転の作業は基本的に、新オフィス関連のものと旧オフィス関連のものを同時に進めていきます。
やることは多岐にわたり時間もかかるので、移転スケジュールは6~8ヶ月程で計画するのが一般的です。
下記に全体的な流れをまとめましたのでご覧ください。
時期 |
新オフィス関連 |
旧オフィス関連 |
7〜8ヶ月 |
●オフィス移転目的決定 ●オフィスコンセプト決定 ●オフィス条件検討(広さ・エリア・賃料等) |
●契約内容を見直す(解約予告期間・原状回復工事の範囲・敷金または保証金の取扱など) |
6ヶ月前 |
●物件情報収集・問い合わせ ●内見 |
●解約通知送付 |
4〜5ヶ月前 |
●入居申込み ●賃貸借契約締結 ●内装・設備工事業者選定 ●レイアウト・設計 |
●原状回復工事業者選定 |
2〜3ヶ月前 |
●新規購入什器選定 ●オフィス設備・通信回線・電話回線設置手配 ●取引先への挨拶状手配 ●パンフレット・名刺等修正手配 |
●原状回復工事発注 |
1ヶ月前〜移転 |
●社内説明会 ●パンフレット・名刺等受取・配布 ●内装・設備工事 ●通信回線・電話回線工事 ●新規什器搬入 ●旧オフィスからの荷物搬入 |
●荷物搬出作業 ●廃棄物処理 |
移転後 |
●開梱作業 ●備品・事務用品の整理 ●各種行政手続き |
●原状回復工事 ●明渡し |
時期 |
新オフィス関連 |
旧オフィス関連 |
7〜8ヶ月 |
●オフィス移転目的決定 ●オフィスコンセプト決定 ●オフィス条件検討(広さ・エリア・賃料等) |
●契約内容を見直す(解約予告期間・原状回復工事の範囲・敷金または保証金の取扱など) |
6ヶ月前 |
●物件情報収集・問い合わせ ●内見 |
●解約通知送付 |
4〜5ヶ月前 |
●入居申込み ●賃貸借契約締結 ●内装・設備工事業者選定 ●レイアウト・設計 |
●原状回復工事業者選定 |
2〜3ヶ月前 |
●新規購入什器選定 ●オフィス設備・通信回線・電話回線設置手配 ●取引先への挨拶状手配 ●パンフレット・名刺等修正手配 |
●原状回復工事発注 |
1ヶ月前〜移転 |
●社内説明会 ●パンフレット・名刺等受取・配布 ●内装・設備工事 ●通信回線・電話回線工事 ●新規什器搬入 ●旧オフィスからの荷物搬入 |
●荷物搬出作業 ●廃棄物処理 |
移転後 |
●開梱作業 ●備品・事務用品の整理 ●各種行政手続き |
●原状回復工事 ●明渡し |
オフィス移転のスケジュール「期間や流れ」
オフィス移転のスケジュールについて、移転8ヶ月前からのスケジュールに加えて、移転後の1ヶ月で進めたいことを時系列で解説していきます。
オフィスの移転スケジュール・7〜8ヶ月前
オフィス移転7ヶ月前〜8ヶ月前に行うべきことは以下の通りです。
- オフィス移転の目的を決める
- 新オフィスのコンセプトを決める
- 新オフィスの条件を決定(広さ・エリア・賃料等)
- 現オフィスの契約内容を確認する
オフィス移転の目的を決める
まずは、オフィス移転の目的・新オフィスのコンセプトを決めましょう。
目的は、「企業規模の拡大により広いオフィスに移転する」「テレワーク普及のため狭いオフィスでコストを縮小する」「社員のモチベーションUPのためオフィスのグレードをあげたい」など、企業によってさまざまです。
目的が明確にあれば、オフィス移転業務の方針が安定し、軌道修正もしやすくなります。
新オフィスのコンセプトを決める
目的が決まったら、新オフィスのコンセプトを決定します。
「堅実」「オープン」「スタイリッシュ」など、企業のイメージや理想の働き方に則して考えるとよいでしょう。
明確にコンセプトを決めることにより、オフィスを通して企業理念の表現やブランディングにも繋がります。
新オフィスの条件を決定(広さ・エリア・賃料等)
広さ・エリア・最寄り駅からの距離・近隣環境など、数値を元に目処を立てれば、物件のリサーチも楽になります。
現オフィスの契約内容を確認する
現オフィスの契約内容を振り返り、「解約予告」「原状回復」「敷金・保証金」などについて確認しましょう。
オフィスビルのテナントを解約する場合は、貸主に6ヶ月前までに通知しなければならないのが一般的です。
ただし、契約内容によって解約予告期間が異なる場合があるため、確認が必要です。
解約通知を怠ったり、遅れたりすると想定時期に解約が成立せずオフィス移転全体のスケジュールに影響が出てしまうため、注意しましょう。
他にも、現オフィスの原状回復を行う範囲や敷金・保証金の償却があるかどうか、その他特約についても確認する必要があります。
オフィスの移転スケジュール・6ヶ月前
オフィス移転6ヶ月前に行うべきことは以下の通りです。
- 新オフィスの情報収集・問い合わせ・内見
- 現オフィスの管理会社・オーナーに解約予告
新オフィスの情報収集・問い合わせ・内見
新オフィスの条件が定まれば、早速物件を探していきましょう。
まずは仲介業者やビル所有会社のHPを利用し、条件に合いそうな物件を探します。
物件情報を見るうちに賃料相場やエリア特性が掴めてくるでしょう。
特に気になった物件を数件挙げ、不動産会社に問い合わせて内見を行います。
内見では、広さ・ビルの仕様・セキュリティ・日当たり・周辺環境など細かくチェックしましょう。
1度で見られない場合は複数回内見し、不明点は不動産会社に分かるまで聞くことが重要です。
現オフィスの管理会社・オーナーに解約予告
現オフィスに関しては、契約で定められた解約予告期間に遅れないよう、解約通知を出しましょう。
オフィスの移転スケジュール・4~5ヶ月前
オフィス移転4ヶ月前〜5ヶ月前に行うべきことは以下の通りです。
- 新オフィスの入居申込み・契約
- 新オフィスの内装・設備工事業者選定
- 新オフィスのレイアウト・設計
- 新オフィスの原状回復工事業者選定
新オフィスの入居申込み・契約
新オフィスの物件を決定し、経営陣の承認が取れたら、入居申込み・契約に進みます。物件の契約では、契約内容について全て漏れなくチェックしましょう。
契約形態が定期賃貸借契約なのか、普通賃貸借契約なのかも重要です。契約形態が定期賃貸借契約の場合、再契約が行われなければ契約終了と同時に退去しなければならないため、注意が必要です。
また、敷金・保証金・礼金等の初期費用や、敷金・保証金の償却・取り扱いについても確認しましょう。地域や貸主によって償却の割合に差があったり、敷金・保証金の一部が退去時に原状回復工事費用に充当されたりする場合があります
その他不明点も契約を締結する前に必ず明確にしておきましょう。
新オフィスの内装・設備工事業者選定
新オフィスが決まったら、内装工事や関連設備工事の業者を選定します。
特定の工事にてビルオーナーや管理会社から業者が指定されているケースがあるため、契約時に確認が必要です。
業者選定の際は、必ず3社程度から相見積りを取り、金額・サービス内容・対応の質などをトータルで検討し、決定しましょう。
また、オフィス移転コンサルを依頼する場合は、コンサル業者に業者を紹介してもらうことも可能です。
新オフィスのレイアウト・設計
新オフィスのレイアウト・設計に移ります。事前に決めた目的やコンセプト・予算・入居人数・間取りの希望などをまとめて業者に伝え、図面を作成してもらいます。
また、入居日・内装工事と設備工事の期間・荷物搬入時期などのスケジュール調整も必須です。
異なる業者が同時期に関与する場合もあるため、工事内容とスケジュールの擦り合わせは入念に行いましょう。
現オフィスの原状回復工事業者選定
旧オフィスに関しては、原状回復工事の業者を選定する必要がありますので、相見積もりをとってから業者を決定しましょう。
新オフィスへの移転時期・荷物搬出時期を伝え、スケジュールを調整することが重要です。
オフィスの移転スケジュール・2~3ヶ月前
オフィス移転2ヶ月前〜3ヶ月前に行うべきことは以下の通りです。
- 新規購入什器の選定
- コピー機・電話回線・通信回線等オフィス設備の手続き
- 移転に伴う取引先への挨拶状/住所修正手配
- 現状回復工事発注
新規購入什器の選定
新オフィスのレイアウトが決まり、スケジュールが調整できたら、次は新オフィスで使用する新規什器を選定します。
事前に決めたオフィスのコンセプトやデザイン・理想の働き方などに基づいて什器を選んでいきましょう。
什器の素材や色合いなど、実際に見なければわからないこともあるため、展示会やモデルルームに足を運んでみるのがおすすめです。
コピー機・電話回線・通信回線等オフィス設備の手続き
什器と同時に手配しなければならないのがコピー機・電話回線・通信回線などのオフィス設備です。
電話回線や通信回線の工事については、開通まで1週間程度必要な場合もあるため、早めに手配しましょう。
移転に伴う取引先への挨拶状/住所修正手配
オフィス移転に伴う取引先への挨拶状や、会社概要・名刺に記載する住所の修正手配を行います。電話番号が変更する場合は、この時期に確定していないケースもあるため、事前に業者に確認しておくことが重要です。
工事や引越しに関する準備に追われがちですが、このような事務作業も忘れないようにしましょう。
原状回復工事発注
旧オフィスに関しては、原状回復工事の業者が選定できたらスムーズに発注を行いましょう。
契約期間内に工事が完全に終了するよう、スケジュールの確認は入念に行います。
オフィスの移転スケジュール・1ヶ月前
オフィス移転1ヶ月前〜移転時に行うべきことは以下の通りです。
- 社内説明会
- 新オフィスの工事(内装・設備・電話・通信)
- 引越し作業・什器の搬入
社内説明会
オフィス移転に伴い、社員向けに行わなければならないのが「社内説明会」。オフィス移転の目的や移転先での働き方などをしっかりと社員に説明し、同じ方向を向いて進んで行かなければなりません。
私物の整理や移転中の業務についてなど、事務的な内容も細やかに共有し、社内で混乱が起こらないようにしましょう。
新オフィスの工事(内装・設備・電話・通信)
新規什器の選定も終われば、いよいよ工事が行われます。内装・設備・電話回線・通信回線など全ての工事において、現場には頻繁に足を運ぶようにしましょう。
契約内容と相違がないか、スケジュール通りに進んでいるかなどを都度確認することが重要です。
引越し作業・什器の搬入
内装・設備工事が完了したら、引越し作業と什器の搬入です。
引越し作業と同時に、新規の什器・旧オフィスから再利用する什器・備品等の搬入が漏れなく行われているかをチェックしましょう。効率的に確認できるよう、ダンボールに印をつけるなど、工夫するのがおすすめです。
旧オフィスの什器や設備が全て搬出されたら、現状回復工事が始まるため、搬出漏れがないかも再度確認しましょう。
また、取引先に対する挨拶状の送付も忘れないようにしましょう。
オフィスの移転スケジュール・移転直後~1ヶ月後
オフィス移転〜1ヶ月後に行うべきことは以下の通りです。
- 開梱作業・設備や事務用品の整理
- 各種行政手続き
- 原状回復工事と明け渡し
開梱作業・備品や事務用品の整理
新オフィスへの荷物搬入作業が完了したら、丁寧に開梱していきます。引越し作業により、荷物に損傷や破損が起きてないかも同時に確認しましょう。
備品や重要書類なども、紛失がないかを確認し、什器に収納します。ダンボールの処理については、ビルの規定に従いましょう。
各種行政手続き
移転に際して、官公庁への届出手続きを行わなければなりません。
法務局・税務署・都道府県税事務所・社会保険事務所など、まずは移転先を管轄する事務所を確認しましょう。
各届け出における「必要書類の提出先」と「提出時期の例」は以下の通りです。
法務局 |
本店の移転:本店移転登記申請書 |
移転日から2週間以内 |
支店の移転:支店移転登記申請書 |
移転日から3週間以内 |
税務署 |
異動届出書 |
移転後すぐ |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書 |
移転日から1ヶ月以内 |
都道府県税事務所 |
事業開始申告書 |
移転日から10日以内 |
社会保険家事務所 |
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届 |
移転日から5日以内 |
労働基準監督署 |
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届 |
移転日から10日以内 |
公共職業安定所(ハローワーク) |
雇用保険事業主事業所各種変更届 |
移転日から10日以内 |
法務局 |
本店の移転:本店移転登記申請書 |
移転日から2週間以内 |
支店の移転:支店移転登記申請書 |
移転日から3週間以内 |
税務署 |
異動届出書 |
移転後すぐ |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書 |
移転日から1ヶ月以内 |
都道府県税事務所 |
事業開始申告書 |
移転日から10日以内 |
社会保険家事務所 |
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届 |
移転日から5日以内 |
労働基準監督署 |
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届 |
移転日から10日以内 |
公共職業安定所(ハローワーク) |
雇用保険事業主事業所各種変更届 |
移転日から10日以内 |
原状回復工事と明け渡し
旧オフィスの荷物が全て搬出された段階で、現状回復工事が着工します。
スケジュール通り行われているか、工事に問題はないかを確認しつつ、完了を待ちましょう。
原状回復工事が完了したら、旧オフィスの貸主または管理会社の立会いのもと、明渡しを行います。
オフィス移転に関する業務は、非常にボリュームが大きく、頻繁に発生する業務ではないため、その進め方に悩んでしまう担当者の方も多いでしょう。
企業規模によりスケジュールや進め方は多少異なりますが、最も重要なのは、余裕を持って具体的な計画を策定することです。
オフィス移転の約8ヶ月前くらいから着手し、旧オフィスの退去と新オフィスへの入居を同時進行で行わなければなりません。
旧オフィスの原状回復工事、新オフィスの内装・設備工事、引越し作業、印刷部の住所部分の修正、取引先への連絡、官公庁への届出など、考えるべきことは多岐にわたります。
しかし、全てを契約通りに進めることはなかなか難しく、予期せぬアクシデントが起きる可能性もゼロではありません。
そのような事態に冷静に対処するためにも、期間に十分余裕をもったスケジュールを計画することが非常に重要なのです。